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前の課では、動詞の頭に au-(高める)と du-(低める)をつけて敬語を作る方法を学びました。ただし、毎日のように使う六つの動詞だけは、この規則に従いません。「いる・行く・来る・言う・食べる・見る」を敬語にすると、まったく別の語に入れかわります。日本語でも「言う」は「おっしゃる/申す」、「食べる」は「召し上がる/いただく」になりますね。これと同じしくみです。
この課の目標は次の三つです。
ké も疑問詞も使わずにたずねられるようになる。この言語が話されている高原の王国では、人はみな「十の段」のどこかに立っています。けれども、崖の下から来る干潟の人や縁商人は、その階段のどこにも乗っていません。そういう相手と話すとき、高原の人の言葉は、ていねいな形とくだけた形のあいだを行ったり来たりします。この課の後半では、その揺れ方を観察します。
| aldán- | [alˈdan] | おわす | 「いる」の尊敬の形「おわす」。aldána aldár áuren「高き座がおわす」のように、王や目上の人がどこにいるかを言うときに使います。 |
| fléir- | [ˈfleir] | お出ましになる | 「行く」の尊敬の形「お出ましになる」。推量にすると fleiréla で、強勢が -él- に移ります。 |
| drén- | [ˈdren] | 参る | 「行く」の謙譲の形「参る」。目上の人の前で、自分が行くことを言うときに使います(drénim「参ります」)。 |
| glóir- | [ˈgloir] | お越しになる | 「来る」の尊敬の形「お越しになる」。推量 gloiréla は、目上の人にたずねるときの定番の形です。 |
| glóiren | [ˈgloiren] | ようこそ | 「ようこそ」。glóir- に分詞の -en がついた形が固まったもので、もとは「お越しになった(方)」という意味です。 |
| selvén- | [selˈven] | おっしゃる | 「言う」の尊敬の形「おっしゃる」。selvá「息」と同じ語源です。selván(「息を」)と聞き違えないように注意しましょう。 |
| léun- | [ˈleun] | 申す | 「言う」の謙譲の形「申す」。léunim「申し上げます」は、詩の挨拶や報告の前置きにもよく使います。 |
| nélis- | [ˈnelis] | 召し上がる | 「食べる」の尊敬の形「召し上がる」。客に食べ物をすすめるときは、願いの形 nelisénde で言います。 |
| dúmar- | [ˈdumar] | いただく | 「食べる」の謙譲の形「いただく」。すすめられたら dúmarim「いただきます」と答えます。 |
| lúum- | [ˈluum] | ご覧になる | 「見る」の尊敬の形「ご覧になる」。願いの形 luuménde は「ご覧いただきたく存じます」。 |
| aurél | [auˈrel] | あの方 | 「あの方」。目上の人を名前で呼ばずに指すための代名詞です。この課では主語の形だけを使います。 |
| duném | [duˈnem] | 手前 | 「手前」。自分を低めて言う、改まった1人称の代名詞です。ふだんの ném のかわりに使います。 |
| bóral | [ˈboral] | 家 | 「家・館」。bóral an dúnoi「丘の上の館」と言えば、そこに住む身分の高い人を遠回しに指すことになります。 |
| naþrenár | [naθreˈnar] | 段の外の者 | 「段の外の者」。干潟の人や外から来た人など、身分の階段に乗っていない人を指します。 |
規則:よく使う六つの動詞は、au- や du- をつけて敬語にするのではなく、別の語に入れかわります。
| 意味 | ふつう | 尊敬(相手を高める) | 謙譲(自分を低める) |
|---|---|---|---|
| いる | és- |
aldán-「おわす」 |
dóm-「控える」 |
| 行く | gél- |
fléir-「お出ましになる」 |
drén-「参る」 |
| 来る | tór- |
glóir-「お越しになる」 |
dunér-「参上する」 |
| 言う | vír- |
selvén-「おっしゃる」 |
léun-「申す」 |
| 食べる | mán- |
nélis-「召し上がる」 |
dúmar-「いただく」 |
| 見る | sén- |
lúum-「ご覧になる」 |
dúrel-「拝見する」 |
例
tóra senár.「目付が来る」→ glóira ausenár.「目付殿がお越しになる」gélim du orén.「私は縁へ行く」→ drénim du orén.「縁へ参ります」注意
au-・du- をつけません。*autóra、*dugélim のような形はありません。au- をつけます。「目付殿」は ausenár(sén-「見る」+-ár+au-)です。動詞が lúum- になっても、名詞は *auluumár にはなりません。dómim「はっ(承りました)」は、謙譲の dóm-「控える」の1人称単数です。もとは「(御前に)控えております」という意味でした。問いへの「はい」ではなく、言いつけを承る応答です。dunér- と dúrel- は改まった場でしか使わないので、この課では表で形を見るだけにします。規則:入れかわった語も、語尾や法の作り方は、これまでの動詞とまったく同じです。強勢をもつ -él-(推量)や -énd-(願い)がつくと、語根の ´ は消えます。
| 言い切り(3人称単数・軽性) | 推量 | 願い | |
|---|---|---|---|
| おわす | aldána |
aldanéla |
aldanénde |
| お出ましになる | fléira |
fleiréla |
fleirénde |
| お越しになる | glóira |
gloiréla |
gloirénde |
| おっしゃる | selvéna |
selvenéla |
selvenénde |
| 召し上がる | nélisa |
neliséla |
nelisénde |
| ご覧になる | lúuma |
luuméla |
luuménde |
謙譲の形は自分のことを言うので、ふつうは1人称で使います。
| 言い切り(1人称単数) | 推量(1人称単数) | |
|---|---|---|
| 参る | drénim |
drenéim |
| 申す | léunim |
leunéim |
| いただく | dúmarim |
dumaréim |
注意
-él- の l が落ちて -é-im になります(第12課)。selvén-「おっしゃる」は selvá「息」と同じ語源です。そのため selván(selvá の「〜を」の形)とよく似ています。selvéna ausenár「目付殿がおっしゃる」と、selván「息を」を聞き分けてください。高原の人は「目上の方の言葉は、清い息そのもの」と考えています。規則:目上の人に向かってたずねるときは、問いの小辞 ké を使いません。動詞を推量の形にして、「〜でいらっしゃるのでしょうか」と推し量ります。
| 相手 | 形 | 例 |
|---|---|---|
| 同じ段・目下 | ké + 言い切り |
ké tóra senár es orénos?「目付は縁から来たか」 |
| 目上 | 尊敬の動詞 + 推量 | gloiréla aulisár es orénos?「書記の方は縁からお越しになったのでしょうか」 |
例
fleiréla ausenár du orén?「目付殿は縁へお出ましになるのでしょうか」luuméla ausenár plánan sé?「目付殿はこの帳簿をご覧になったのでしょうか」注意
gloiréla は「お越しになった」とも「お越しになる」とも訳せます。どちらの意味かは、場面から判断します。es pós だけでなく「何を」「どこへ」も、じかに向けると詰問に聞こえます。行き先を伺うなら、fleiréla ausenár du orén?「目付殿は縁へお出ましになるのでしょうか」のように、はい・いいえで答えられる形で推し量ります。ただし、目上の人のことを同輩や目下にたずねるときは、疑問詞を使えます(du pó fleiréla ausenár?)。規則:王は名前では呼ばず、座っている場所の高さで aldár áuren「高き座」と言います。王自身は自分を「我」と言わず、aldár sé「この座」と3人称で言います。動詞は3人称単数・軽性です。
| 言い方 | 意味 | 使う人 |
|---|---|---|
aldár áuren |
高き座(今の王) | 臣下・民 |
aldár sé |
この座(=我) | 王自身 |
bóral an dúnoi |
丘の上の館 | 王や身分の高い人を、住まいで遠回しに指す |
例
aldána aldár áuren an dúnoi.「高き座は丘の上におわします」aldána aldár sé an dúnoi.「この座は丘の上におる」(王自身の言葉)注意
aldán- を使うのは、王自身ではなく「座」が高いものだからです。座は人の階段のいちばん上にあるので、だれが言っても高める形で受けます。aurél「あの方」も、名前を避けるための便利な語です。規則:相手の身分がわからないと、話し方が混ざります。混ざり方は、話し手が自分を上と見ているか、下と見ているかで決まります。
| 話し手 | 混ざり方 | 聞こえ方 |
|---|---|---|
| 自分のほうが上だと思っている | 命令の形を言いかけて、2人称の願いの形に言い直す | 「〜しろ……いや、〜してくれぬか」 |
| 自分のほうが下か、同じくらい | 3人称のていねいな形(推量・尊敬)と、2人称のくだけた形を行き来する | 「〜なさったのでしょうか……〜したのかい」 |
例
sén, senéndes plánan sé.「見ろ……いや、この帳簿を見てくれぬか」(都の商家の手代が、段の外の者に)gloiréla orenvandár es dáloros? ké tóres sórel?「縁商人殿は下の国からお越しになったのでしょうか……今日来たのかい?」(運び人が縁商人に)注意
sén は、市のむき出しの語幹と同じ形です。けれども後ろに「〜を」の語尾つきの plánan と指示詞 sé が続き、ende もないので、市の言葉ではなく命令の形だとわかります。aldána aldár áuren an dúnoi.
読み:アルダーナ アルダール アウレン アン ドゥーノイ。
| aldán-a | aldár | áur-en | an | dún-oi. |
| おわす-<(軽いものが)> | 座<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | 上手 | 丘-<与格> |
「高き座は丘の上におわします。」
aldán- は「いる」の尊敬の形。áuren は「昇った」の分詞で、「高き」と訳します。
gloiréla aulisár es orénos?
読み:グロイレーラ アウリサール エス オレーノス?
| gloir-él-a | au-lis-ár | es | orén-os? |
| お越しになる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-書く-<〜する人> | から | 縁-<属格> |
「書記の方は縁からお越しになったのでしょうか。」
目上の人については ké を使わず、推量の形でたずねます。強勢が -él- に移るので、glóir- の ´ は消えます。
nelisénde aulisár kailó só. dúmarim.
読み:ネリセンデ アウリサール カイロー ソー。ドゥーマリン。
| nelis-énd-e | au-lis-ár | kailó | só. | dúmar-im. |
| 召し上がる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-書く-<〜する人> | 乾酪<対格> | この<重性> | いただく-<私が> |
「「書記の方、この乾酪をお召し上がりください。」「いただきます。」」
二人の発話。すすめる側は相手を高める願いの形、答える側は自分を低める形で、受ける側は決まり文句の dúmarim「いただきます」で答えます。目の前に差し出された物を受ける決まった言い方なので、目的語は言いません。
selvéna ausenár virán sé.
読み:セルヴェーナ アウセナール ヴィラーン セー。
| selvén-a | au-sen-ár | vir-án | sé. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | 言葉-<対格> | この<軽性> |
「目付殿がこの言葉をおっしゃいます。」
selvén-「おっしゃる」は selvá「息」と同じ語源。目付殿 ausenár は、名詞なので規則どおり au- がつきます。
léunim virán sé ausenárei.
読み:レウニン ヴィラーン セー アウセナーレイ。
| léun-im | vir-án | sé | au-sen-ár-ei. |
| 申す-<私が> | 言葉-<対格> | この<軽性> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<与格> |
「目付殿に、このことを申し上げます。」
謙譲の動詞(自分を低める)と、高めた「〜に」(相手を高める)を一つの文に並べています。
fleiréla ausenár du orén?
読み:フレイレーラ アウセナール ドゥ オレーン?
| fleir-él-a | au-sen-ár | du | orén? |
| お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | 下手 | 縁<対格> |
「目付殿は縁へお出ましになるのでしょうか。」
行き先は「du +〜を」で言います。orén は重性なので、「〜を」も同じ形です。
dórel, drénim du orén.
読み:ドーレル、ドレーニン ドゥ オレーン。
| dórel, | drén-im | du | orén. |
| 明日 | 参る-<私が> | 下手 | 縁<対格> |
「明日、縁へ参ります。」
時の語は文の前に出して、読点で区切れます。drén- は「行く」の謙譲の形。
luuménde ausenár plánan sé.
読み:ルーメンデ アウセナール プラーナン セー。
| luum-énd-e | au-sen-ár | plán-an | sé. |
| ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | 帳簿-<対格> | この<軽性> |
「目付殿に、この帳簿をご覧いただきたく存じます。」
目上の人への頼みは、命令ではなく3人称の願いの形で言います。目の前の相手を「目付殿は」と3人称で扱っています。
sén, senéndes plánan sé.
読み:セーン、セネンデス プラーナン セー。
| sén, | sen-énd-es | plán-an | sé. |
| 見る<命令法><あなたが> | 見る-<〜しますように>-<あなたが> | 帳簿-<対格> | この<軽性> |
「見ろ……いや、この帳簿を見てくれぬか。」
自分のほうが上だと思っている話し手の揺れ。命令の sén を言いかけて、同じ段の相手への願いの形に言い直しています。
gloiréla orenvandár es dáloros? ké tóres sórel?
読み:グロイレーラ オレンヴァンダール エス ダーロロス?ケー トーレス ソーレル?
| gloir-él-a | orenvandár | es | dálor-os? | ké | tór-es | sórel? |
| お越しになる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 縁商人<主格> | から | 下の国-<属格> | <〜か> | 来る-<あなたが> | 今日 |
「縁商人殿は下の国からお越しになったのでしょうか……今日来たのかい?」
自分のほうが下か同じくらいだと思っている話し手(運び人)の揺れ。3人称の推量・尊敬の形で始めたのに、途中で ké と2人称のくだけた問いに戻っています。
穴埋め:( )に入る動詞の形を書きましょう。
aldána(「いる」の尊敬の形 aldán- + 3人称単数・軽性 -a)drénim(「行く」の謙譲の形 drén- + 1人称単数 -im)nelisénde(「食べる」の尊敬の形 nélis- の願いの形。強勢が -énd- に移り、3人称単数・軽性なので -e)léunim(「言う」の謙譲の形 léun- + -im)目上の人へのたずね方に直す:次の問いは、同じ段の相手について言う形です。目上の人について言う形に直しましょう(senár は ausenár に、動詞は尊敬の形に)。
ké tóra senár es dáloros?「目付は下の国から来たか」ké séna senár plánan sé?「目付はこの帳簿を見たか」gloiréla ausenár es dáloros?「目付殿は下の国からお越しになったのでしょうか」luuméla ausenár plánan sé?「目付殿はこの帳簿をご覧になったのでしょうか」ké を外して、動詞を尊敬の形の推量(-él-)にします。tór- は glóir- に、sén- は lúum- に入れかわります。*auséna のように au- をつけた形は使いません。
高原語→日本語:次の文を日本語に訳しましょう。だれの言葉と考えられるかも答えましょう。
fleiréla aulisár du orén?aldána aldár sé an dúnoi.dúmarim tambór só.aldár sé「この座」と自分のことを3人称で言っているので、王自身の言葉です。日本語→高原語:「目付殿に、この証文をご覧いただきたく存じます」を高原語で言いましょう。(証文 sáindar は軽性です)
luuménde ausenár sáindaran sé.
目上の人への頼みは、3人称の願いの形にします。lúum- + -énd- + -e で luuménde。証文は軽性なので「〜を」は -an、「この」は軽性の sé です。
話し方の揺れを聞き取る:次の二つの発話で、話し手は自分を相手より「上」と見ているでしょうか、「下(か同じくらい)」と見ているでしょうか。
ván, vandéndes fáron só.gloiréla naþrenár es dáloros? ké tóres sórel?ván(vánd- のむき出しの語幹)を言いかけて、同じ段の相手への願いの形 vandéndes に言い直しています。「量れ……いや、この荷を量ってくれぬか」。gloiréla で始めたのに、途中で ké tóres(2人称のくだけた問い)に戻っています。「段の外の方は下の国からお越しになったのでしょうか……今日来たのかい?」発音:強勢の位置に気をつけて、次の組を言い分けましょう。それぞれどこに強勢があり、意味はどう違うでしょうか。
lúuma / luuméndeselvéna / selvánlúuma(ルーマ)は語頭の長母音に強勢があり、「ご覧になる」(言い切り)。luuménde(ルウメンデ)は -énd- に強勢が移り、「ご覧いただきたく」(願い)。強勢が後ろへ移ると、語頭の uu は弱く短めに聞こえます。selvéna(セルヴェーナ)は「おっしゃる」(3人称単数・軽性)。selván(セルヴァーン)は selvá「息」の「〜を」の形です。同じ語源で響きが似ているので、母音 e と a をはっきり聞き分けましょう。この言語が話されている高原の王国では、人はだれもが「十の段」のどこかに立っています。王の「下りぬ段」から、崖道の運び人の「九段下り」までです。話し手は相手の段を見て、命令の形を使うか、願いの形を使うか、2人称で呼ぶか、役職名で3人称にするかを決めます。言葉の形そのものが、二人の高さの差を映す鏡になっているのです。
ところが、この鏡に映らない人々がいます。崖の下の干潟から来た人や、外から来た旅人です。高原の人は彼らを naþrenár「段の外の者」と呼びます。身分が低いというより、「階段に乗っていない」ので、どこに置けばいいのかわからない人たちです。
その代表が縁商人です。縁商人は干潟に生まれ育った商人で、高原語を話し、高原の文字で帳簿をつけ、乾風期の縁の市で両側の取引を仲立ちします。彼らは道の司から市の札(青銅の plíndo)を受けていて、市と崖道で商いをしているあいだだけは、六段下りに準ずる者として扱われます。証文に印を押すこともできます。けれども商いの場を一歩離れれば、また段の外の者に戻ります。
そのため、高原の人が縁商人と話すと、言葉がどうしても揺れます。都の大商家の手代は、自分のほうが上だと思っているので、sén!「見ろ」と言いかけてから senéndes「見てくれぬか」と言い直します。いっぽう崖道の運び人は、札をさげた相手を立てて gloiréla「お越しになったのでしょうか」と言い出しますが、毎年顔を合わせる仲なので、途中で ké tóres?「来たのかい?」とくだけてしまいます。
縁の肩や崖道に住む人々は、段より「どこの誰か」を先に気にします。縁商人を名前で呼ぶのは、王国の中でも縁の人々だけだと言われます。都の人はこれを「下の国に染まった」と笑いますが、縁の人々は「段が上がると、息が冷える」と言い返すそうです。揺れる話し方は、礼儀の乱れというより、階段の外の相手とどう向き合うかを探る、正直な言葉の姿なのかもしれません。
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