小説
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止まる
動きがやんで静止すること。足・荷・車輪・機械などの物理的な停止に使う。
þála dulíña nóumoi.
読み:サーラ ドゥリーニャ ノーモイ。
| þál-a | dulíña | nóum-oi |
| 止まる-<(軽いものが)> | 小下り<主格> | 顔-<与格> |
「小さな下り(汗)が顔にとどまる。」
宮廷文での汗の言い方。日常では sélmo が使われ、この語は体を重いものとする見方から、体表に出る水を「小さな下り」として婉曲に指す。語順はVSOで、動詞が文頭に来る。
lúin kruntiúlo marfúnel, þalíþa funelár fáron.
読み:ルーイン クルンティウーロ マルフーネル、サリーサ フネラール ファーロン。
| lúin | kruntiúl-o | marfúnel, | þal-íþ-a | funelár | fáron. |
| とき | 支えが軋む-<(重いものが)> | 腕木<主格> | 止まる-<〜させる>-<(軽いものが)> | 綱番<主格> | 荷<対格> |
「「腕木が軋むと、綱番は荷を止める。」」
現場の定型的操作。þal-「止まる」に使役接尾辞-íþ-が付いたþalíþ-「止める」を用いる。主語funelárは軽性・単数、目的語fáronは重性・単数で対格が主格と同形。
houmþálo némei.
読み:ホウンサーロ ネーメイ。
| houm-þál-o | ném-ei. |
| 炉-止まる-<(重いものが)> | 私-<与格> |
「炉が冷えます(=私は腹が空く)。」
家庭生活での婉曲な日常表現。houmþál- は「炉」を語中に取り込み、経験者・持ち主は与格で示す。取り込まれた炉は重性なので、動詞は重性3人称単数接尾辞 -o をとる。
na þálo síndo.
読み:ナ サーロ シンド。
| na | þál-o | síndo |
| <〜ない> | 止まる-<(重いものが)> | 涙<主格> |
「涙が止まらない。」
感情の高まりを述べる日常の文。þál-「止まる」は自動詞なので、主語síndoに語形を合わせる。síndoは重性主語なので、動詞は3人称単数・重性の-oとなる。事実の否定なので小辞naを使う。
þálo seníño só, endríña.
読み:サーロ セニーニョ ソー、エンドリーニャ。
| þál-o | seníño | só | endríña |
| 止まる-<(重いものが)> | 涙(婉曲・指小)<主格> | この<重性> | 子 |
「「涙が止まりますよ、子ども。」」
子守唄で幼い子どもに語りかける場面。涙を直接大きな語で言わず、seníño として小さく言い表している。呼びかけの語は名詞のままで、日常では呼格の語尾を使わない。
þalíþim ilánan.
読み:サリーシン イラーナン。
| þal-íþ-im | ilán-an. |
| 止まる-<〜させる>-<私が> | 灯-<対格> |
「私は灯を消す。」
日常の室内での言い方。þalíþ- は þál-「止まる」に -íþ- がついた使役形。灯 ilána は軽性a語幹で、単数対格は ilánan。主語「私」は代名詞ではなく語尾 -im に表れる。
þalíþa andaulóura elþán hóumos.
読み:サリーサ アンダウローラ エルサーン ホーモス。
| þal-íþ-a | andaulóura | elþ-án | hóum-os. |
| 止まる-<〜させる>-<(軽いものが)> | 祖母<主格> | 火-<対格> | 炉-<属格> |
「祖母は炉の火を消す。」
家庭の日常。人間は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。elþá は軽性a語幹で単数対格 elþán。名詞句 elþán hóumos は「炉の火」。
þalíþim símbo es sáindares.
読み:サリーシン シンボ エス サインダレス。
| þal-íþ-im | símbo | es | sáindar-es. |
| 止まる-<〜させる>-<私が> | 印<対格> | から | 証文-<属格> |
「私は証文から印を消す。」
帳場・書の日常。痕を消す意。símbo は重性o語幹で、単数の主格と対格は同形。es+属格 sáindares は「証文から」。
na þálo alfilrúndo némores.
読み:ナ サーロ アルフィルルンド ネーモレス。
| na | þál-o | alfilrúndo | némor-es. |
| <〜ない> | 止まる-<(重いものが)> | 細く絶えぬ流れ<主格> | <我々>-<属格> |
「私たちの細く絶えぬ流れは止まらない。」
詩語としての alfilrúndo。河川名を「細く絶えぬ流れ」として、家系のように細く続くものを詠む用法。némores は1人称複数属格で「私たちの」。直説法否定。
やむ(音)
音が完全に消え、静けさが訪れること。話し声・歌・風の音・鐘の音などに使う。
ké na þála unlóur tíula léumes?
読み:ケー ナ サーラ ウンロール ティーウラ レウメス?
| ké | na | þál-a | unlóur | tíula | léum-es? |
| <〜か> | <〜ない> | やむ-<(軽いものが)> | まだ | 音<主格> | 風-<属格> |
「風の音はまだやまないのか?」
否定の na と「まだ」unlóur を添えた疑問文。見出し語 þál- の基本語形 þál-a を使う。主語 tíula は軽性の単数で、動詞は3人称単数軽性の語尾 -a をとる。属格 léumes が名詞句の後ろに続く。
動きや音が完全にやむことを表す基本動詞。足が止まる、荷が止まる、車輪が止まるなどの物理的な停止と、話し声が止まる、歌が止まる、風の音がやむなどの音の停止の両方に使う。命令形はむき出しの語幹 þál!「止まれ」。当為法で碑文や法典の決まり文句にも現れる(mé þálesa…「〜を止めぬこと」)。副詞と組み合わせて「ぴたりと止まる」「完全にやむ」などの表現を作る。高原の言葉として最も中立的で、敬意の段階を問わない基本語であり、宮廷語から崖道の言葉まですべての層で使われる。
自動詞。3人称単数は軽性 -a(þála)、重性 -o(þálo)。命令形2単は þál!。完了語幹は þáil-(a → ai)。
古高原語 *þála- から。語末の -a は古い脱落の条件(強勢音節の直後で流音・鼻音に続く強勢のない短母音)に当たらず、動詞の語尾として類推で残った形が、のちに語根に統合された。
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