þál-

品詞
動詞(自動詞)
意味
止まる
発音
[ˈθal]
読み
スール
分野
基本動作

意味

  1. 止まる

    動きがやんで静止すること。足・荷・車輪・機械などの物理的な停止に使う。

    þála dulíña nóumoi.

    読み:サーラ ドゥリーニャ ノーモイ。

    þál-adulíñanóum-oi
    止まる-<(軽いものが)>小下り<主格>顔-<与格>

    「小さな下り(汗)が顔にとどまる。」

    宮廷文での汗の言い方。日常では sélmo が使われ、この語は体を重いものとする見方から、体表に出る水を「小さな下り」として婉曲に指す。語順はVSOで、動詞が文頭に来る。

    lúin kruntiúlo marfúnel, þalíþa funelár fáron.

    読み:ルーイン クルンティウーロ マルフーネル、サリーサ フネラール ファーロン。

    lúinkruntiúl-omarfúnel,þal-íþ-afunelárfáron.
    とき支えが軋む-<(重いものが)>腕木<主格>止まる-<〜させる>-<(軽いものが)>綱番<主格>荷<対格>

    「「腕木が軋むと、綱番は荷を止める。」」

    現場の定型的操作。þal-「止まる」に使役接尾辞-íþ-が付いたþalíþ-「止める」を用いる。主語funelárは軽性・単数、目的語fáronは重性・単数で対格が主格と同形。

    houmþálo némei.

    読み:ホウンサーロ ネーメイ。

    houm-þál-oném-ei.
    炉-止まる-<(重いものが)>私-<与格>

    「炉が冷えます(=私は腹が空く)。」

    家庭生活での婉曲な日常表現。houmþál- は「炉」を語中に取り込み、経験者・持ち主は与格で示す。取り込まれた炉は重性なので、動詞は重性3人称単数接尾辞 -o をとる。

    na þálo síndo.

    読み:ナ サーロ シンド。

    naþál-osíndo
    <〜ない>止まる-<(重いものが)>涙<主格>

    「涙が止まらない。」

    感情の高まりを述べる日常の文。þál-「止まる」は自動詞なので、主語síndoに語形を合わせる。síndoは重性主語なので、動詞は3人称単数・重性の-oとなる。事実の否定なので小辞naを使う。

    þálo seníño só, endríña.

    読み:サーロ セニーニョ ソー、エンドリーニャ。

    þál-oseníñosóendríña
    止まる-<(重いものが)>涙(婉曲・指小)<主格>この<重性>子

    「「涙が止まりますよ、子ども。」」

    子守唄で幼い子どもに語りかける場面。涙を直接大きな語で言わず、seníño として小さく言い表している。呼びかけの語は名詞のままで、日常では呼格の語尾を使わない。

    þalíþim ilánan.

    読み:サリーシン イラーナン。

    þal-íþ-imilán-an.
    止まる-<〜させる>-<私が>灯-<対格>

    「私は灯を消す。」

    日常の室内での言い方。þalíþ- は þál-「止まる」に -íþ- がついた使役形。灯 ilána は軽性a語幹で、単数対格は ilánan。主語「私」は代名詞ではなく語尾 -im に表れる。

    þalíþa andaulóura elþán hóumos.

    読み:サリーサ アンダウローラ エルサーン ホーモス。

    þal-íþ-aandaulóuraelþ-ánhóum-os.
    止まる-<〜させる>-<(軽いものが)>祖母<主格>火-<対格>炉-<属格>

    「祖母は炉の火を消す。」

    家庭の日常。人間は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。elþá は軽性a語幹で単数対格 elþán。名詞句 elþán hóumos は「炉の火」。

    þalíþim símbo es sáindares.

    読み:サリーシン シンボ エス サインダレス。

    þal-íþ-imsímboessáindar-es.
    止まる-<〜させる>-<私が>印<対格>から証文-<属格>

    「私は証文から印を消す。」

    帳場・書の日常。痕を消す意。símbo は重性o語幹で、単数の主格と対格は同形。es+属格 sáindares は「証文から」。

    na þálo alfilrúndo némores.

    読み:ナ サーロ アルフィルルンド ネーモレス。

    naþál-oalfilrúndonémor-es.
    <〜ない>止まる-<(重いものが)>細く絶えぬ流れ<主格><我々>-<属格>

    「私たちの細く絶えぬ流れは止まらない。」

    詩語としての alfilrúndo。河川名を「細く絶えぬ流れ」として、家系のように細く続くものを詠む用法。némores は1人称複数属格で「私たちの」。直説法否定。

  2. やむ(音)

    音が完全に消え、静けさが訪れること。話し声・歌・風の音・鐘の音などに使う。

    ké na þála unlóur tíula léumes?

    読み:ケー ナ サーラ ウンロール ティーウラ レウメス?

    kénaþál-aunlóurtíulaléum-es?
    <〜か><〜ない>やむ-<(軽いものが)>まだ音<主格>風-<属格>

    「風の音はまだやまないのか?」

    否定の na と「まだ」unlóur を添えた疑問文。見出し語 þál- の基本語形 þál-a を使う。主語 tíula は軽性の単数で、動詞は3人称単数軽性の語尾 -a をとる。属格 léumes が名詞句の後ろに続く。

解説

動きや音が完全にやむことを表す基本動詞。足が止まる、荷が止まる、車輪が止まるなどの物理的な停止と、話し声が止まる、歌が止まる、風の音がやむなどの音の停止の両方に使う。命令形はむき出しの語幹 þál!「止まれ」。当為法で碑文や法典の決まり文句にも現れる(mé þálesa…「〜を止めぬこと」)。副詞と組み合わせて「ぴたりと止まる」「完全にやむ」などの表現を作る。高原の言葉として最も中立的で、敬意の段階を問わない基本語であり、宮廷語から崖道の言葉まですべての層で使われる。

文法

自動詞。3人称単数は軽性 -a(þála)、重性 -o(þálo)。命令形2単は þál!。完了語幹は þáil-(a → ai)。

語源

古高原語 *þála- から。語末の -a は古い脱落の条件(強勢音節の直後で流音・鼻音に続く強勢のない短母音)に当たらず、動詞の語尾として類推で残った形が、のちに語根に統合された。

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