小説
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綱
荷を吊るす太い綱。
na dulíþin vúuro fúnel gandér du dálor.
読み:ナ ドゥリーシン ヴーロ フーネル ガンデール ドゥ ダーロル。
| na | dul-íþ-in | vúur-o | fúnel | gandér | du | dálor. |
| <〜ない> | 下る-<〜させる>-<〜して・〜く> | 届く-<(重いものが)> | 綱<主格> | 硬木<対格> | 下手 | 下の国<対格> |
「綱は硬木を下の国まで下ろせない。」
否定の na は副動詞の前に置き、二つの動詞をまとめて打ち消す。綱の長さが届かない、という可能の否定。
glüníro fúnel, mé duliþésa gandér.
読み:グリュニーロ フーネル、メー ドゥリセーサ ガンデール。
| glün-ír-o | fúnel, | mé | dul-iþ-és-a | gandér. |
| 凍る-<もし〜なら>-<(重いものが)> | 綱<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 硬木<対格> |
「綱が凍ったなら、硬木を下ろさぬこと。」
降ろし場の決まりを書いた碑文の文体。条件の節は接続詞なしに、動詞を仮定法にするだけで作る。綱は重性なので仮定法の語尾は -íro。後半は当為法の禁止で、主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の形をとる。凍りの頃に吊り下ろしが止まるのは、この決まりによる。
kráilir dáu fúnelou só!
読み:クライリル ダウ フーネロウ ソー!
| kráil-ir | dáu | fúnel-ou | só! |
| 手に持つ-<皆で〜せよ> | 二 | 綱-<双数> | この<重性> |
「「皆でこの二本の綱を持て!」」
降ろし場で運び人たちに向けて言う、崖道の言葉の下向きの命令。宮廷語なら dáu の後ろは双数(fúnelou)になるが、崖道の言葉では双数が衰えているので、複数の fúnelul で代用している。重い丸太は二本の綱をひと組にして吊るすことが多い。
kráilo marfúnel fúnel.
読み:クライロ マルフーネル フーネル。
| kráil-o | marfúnel | fúnel. |
| 手に持つ-<(重いものが)> | 綱臂<主格> | 綱<対格> |
「綱臂が綱を支えている。」
崖道のくだけた話し方。降ろし場で作業の前に、綱臂と綱の関係を運び人が確認しながら言う文。VSOの基本語順(動詞–主語–目的語)。marfúnelは重性子音語幹(③型)なので、3人称単数の動詞は-o。fúnelも重性③型なので、対格は主格と同じ形(語尾なし)。
salkráila faronár fúnel.
読み:サルクライラ ファロナール フーネル。
| salkráil-a | faronár | fúnel. |
| 外に解く-<(軽いものが)> | 運び人<主格> | 綱<対格> |
「運び人が綱を解く。」
荷の作業場での文。主語の faronár は人の名詞なので軽性となり、動詞は3人称単数軽性の -a をとる。目的語の fúnel は重性語幹として、対格が無標。
tán fúnel, ende.
読み:ターン フーネル、エンデ。
| tán | fúnel, | ende. |
| 張る<命令法> | 綱<対格> | どうぞ |
「綱を張っていただけますか?」
日常の依頼の文。命令法2人称単数は語幹のむき出しの形を使う。「fúnel」は重性子音語幹名詞で、単数の対格は主格と同形。「ende」は市の取引言葉でも使われる「どうぞ・頼む」の意の小辞。
frún fúnel só!
読み:フルーン フーネル ソー!
| frún | fúnel | só |
| 繕う<命令法><あなたが> | 綱<対格> | この<重性> |
「この綱を繕え!」
荷を支える綱の修理を命じる、くだけた実務語。命令法は語幹むき出しで、指示詞 só が名詞句を閉じる。
frunéndes búl fúnelos, ende.
読み:フルネンデス ブール フーネロス、エンデ。
| frun-énd-es | búl | fúnel-os, | ende. |
| 芯直す-<〜しますように>-<あなたが> | 芯<対格> | 綱-<属格> | どうぞ |
「綱の芯を直してくれませんか、頼む。」
同じ段の相手に頼む願望法。búl は「根」の語で、ここでは綱の芯・筋を指す用法。fúnelos は綱の属格。
anórel, plóursa funelár tráumo.
読み:アノーレル、プロールサ フネラール トラウモ。
| anórel, | plóurs-a | funel-ár | tráumo |
| 昨日 | 見下ろす<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 綱-<〜する人・主格> | 渡り氷<対格> |
「昨日、綱番は渡り氷を見下ろして確かめた。」
書物・年代的記述向きの文。anórel を場面の枠として動詞の前に置いている。plóur- は二重母音を含む語根なので、完了相では語根に -s- を添えた plóurs- になる。意味2として、渡り氷の安全確認が済んだ事実を記録する文である。
lín fúnel, ende.
読み:リーン フーネル、エンデ。
| lín | fúnel, | ende. |
| 伸ばす<命令法><あなたが> | 綱<対格> | どうぞ |
「綱を伸ばしてくれ、頼む。」
日常の実用的な場面。引き寄せて綱を張るのではなく、綱の取り分や全長を長くする意。命令法は語幹のみ。ende は依頼に固まった定型。
snúmpim fáron fúneloi
読み:スヌンピン ファーロン フーネロイ
| snúmp-im | fáron | fúnel-oi |
| 締める-<私が> | 荷<対格> | 綱-<与格> |
「私は綱で荷を締める。」
日常の荷仕事での発話。道具・材料を示すために裸の与格を用いる。
tóro brinó fúnelos.
読み:トーロ ブリノー フーネロス。
| tór-o | brinó | fúnel-os. |
| 来る-<(重いものが)> | ほつれ<主格> | 綱-<属格> |
「綱のほつれが生じる。」
作業場や崖道で、綱の端からほつれが出ることを言う日常会話。動詞 tóro は主語 brinó が重性なので 3 単重性 -o になる。
krínau fúnel si fáron.
読み:クリーナウ フーネル シ ファーロン。
| krín-au | fúnel | si | fáron. |
| 固めて動かない-<双数> | 綱<主格> | と | 荷<主格> |
「綱と荷は、揺れずに張ったままだ。」
状態を簡潔に記した記録向きの文。単数の名詞二つを si で並べると、動詞は双数になる。krín- の意味2で、綱や荷が風に振られず、同じ位置に保たれている状態を表す。
kríl fúnel!
読み:クリール フーネル!
| kríl | fúnel |
| 離す<命令法><あなたが> | 綱<対格> |
「綱を離せ。」
日常・作業中の命令。命令法はむき出しの語幹で表し、kríl はその 2 人称単数形。対象の fúnel は重性名詞で、目的語も主格と同形になる。
kríla endríña fúnel.
読み:クリーラ エンドリーニャ フーネル。
| kríl-a | endríña | fúnel |
| 離す-<(軽いものが)> | 子<主格> | 綱<対格> |
「子どもは綱を離す。」
日常的な叙述。主語 endríña は人なので軽性として扱われ、動詞は 3 人称単数軽性の語尾 -a をとる。目的語 fúnel は重性で、主格と同形のまま。
snǘla faronár fúnel
読み:スニューラ ファロナール フーネル
| snǘl-a | faron-ár | fúnel |
| 扱う-<(軽いものが)> | 荷-<〜する人・主格> | 綱<対格> |
「運び人は綱を扱う。」
日常の作業の記述。VSOで主語が先。faronár は軽性単数なので動詞は軽性3単、fúnel は重性で対格標識がない。
funeltréna faronár fúnel.
読み:フネルトレーナ ファロナール フーネル。
| funeltrén-a | faron-ár | fúnel. |
| 綱を手繰る-<(軽いものが)> | 荷-<〜する人・主格> | 綱<対格> |
「運び人が綱を手繰る。」
日常の労働の場での平叙文。主語 faronár は人を表すため軽性で、動詞は軽性3単語尾 -a をとる。対象 fúnel は重性で、対格が主格と同形になる。
funeltrénan faronárai fúnel gléinin.
読み:フネルトレーナン ファロナーライ フーネル グレーニン。
| funeltrén-an | faron-ár-ai | fúnel | gléin-in. |
| 綱を手繰る-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 綱<対格> | 清い-ADV |
「運び人たちは綱を整えながら手繰る。」
作法書や手引のような常態文。主語が複数なので動詞は3複語尾 -an。gléinin が整える様子を表し、意味2として読む。
marwéino fúnel só némei.
読み:マルウェーノ フーネル ソー ネーメイ。
| marwéin-o | fúnel | só | ném-ei. |
| 手になじむ-<(重いものが)> | 綱<主格> | この<重性> | <私>-<与格> |
「この綱は、私には手に馴染んでいる。」
日常の会話。与格némeiは経験者・使用者を表す。fúnel「綱」は重性。
vrunþála líura fúnel te bríno.
読み:ヴルンサーラ リーウラ フーネル テ ブリーノ。
| vrunþál-a | líura | fúnel | te | brín-o. |
| 結ぶ-<(軽いものが)> | 女<主格> | 綱<対格> | <関係節> | ほつれる-<(重いものが)> |
「女は、ほつれかけている綱を結び直す。」
ほどけ止めにする意味。関係節 te bríno は fúnel を修飾し、抜けた主語の位置は空けたままにする。関係節の動詞は修飾される名詞に一致し、fúnel が重性なので brín- に -o が付く。
éso gúur fúnelos húmel.
読み:エーソ グール フーネロス フーメル。
| és-o | gúur | fúnel-os | húmel. |
| いる-<(重いものが)> | 末端<主格> | 綱-<属格> | 湿った |
「綱の先は湿っている。」
動物の尾からの転義。細く突き出た本体の末端を指す用法で、日常語として定着している。所有は後ろ属格。fúnel「綱」の末端を「尾」と呼ぶ。
éso fúnel só lóun fáir daumárul.
読み:エーソ フーネル ソー ローン ファイル ダウマールル。
| és-o | fúnel | só | lóun | fáir | daumár-ul |
| いる-<(重いものが)> | 綱<主格> | この<重性> | 長い | 四 | 腕-<〜ら(古い母音交替)> |
「この綱は四腕長い。」
長さの単位としての用法。存在動詞 éso で主語 fúnel を受け、形容詞 lóun に単位句 fáir daumárul を続ける。数詞 fáir に伴う単位名詞は複数形。
tiulér, funelár!
読み:ティウレール、フネラール!
| tiulér, | funel-ár! |
| 声を上げる<命令法><あなたが>, | 綱-<〜する人>! |
「「綱番よ、合図を出せ」」
降ろし場で、巻きの合図を出すよう綱番に命じる命令法。呼びかけは呼格を用いず、名詞を文末に読点区けで添える。tiulér- は「自分の声」や「合図」を目的語に取らないのが基本。
meliréndes fúnel só.
読み:メリレンデス フーネル ソー。
| melir-énd-es | fúnel | só |
| 染める-<〜しますように>-<あなたが> | 綱<対格> | この<重性> |
「この綱を染めてくれませんか。」
同輩に対して、命令法の代わりに願望法を用いて頼む文。語幹 melir- に願望法接尾辞 -énd- と二人称語尾 -es が加わり、強勢は接尾辞へ移るため、語根元の強勢は落ちる。目的語の綱は重性名詞の単数対格 fúnel(主格と同形)。指示詞 só は名詞句の末尾に置かれる。
rímbim lím márul fúnelos.
読み:リンビン リーン マールル フーネロス。
| rímb-im | lím | már-ul | fúnel-os. |
| 数える-<私が> | 五 | 手(長さの単位)-<〜たちを> | 綱-<属格> |
「綱の五手分を数える。」
帳簿・記録での数量の言い方。数詞+単位 márul+対象の属格 fúnelos という定型で、「五手分の綱」を表す。単位としての már は重性の名詞として働く。
ké éso fúnel só ín ómbo?
読み:ケー エーソ フーネル ソー イーン オンボ?
| ké | és-o | fúnel | só | ín | ómbo? |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | 綱<主格> | この<重性> | 一 | 指<主格> |
「この綱は、一指(の太さ)あるか。」
市での日常会話。長さ・幅を単位「指」で表す用法。存在・名詞述語文の主語 fúnel が重性単数なので、動詞 és- は重性 3 人称単数 -o をとる。単数の主格 ómbo は、語を切らずに一つの形態素として示す。
vrunkríl fúnel, ende
読み:ヴルンクリール フーネル、エンデ
| vrunkríl | fúnel, | ende |
| ほどく<命令法><あなたが> | 綱<対格> | どうぞ |
「綱をほどいてくれ、頼む。」
命令法二人称単数は語幹のみを使う。綱 fúnel は重性なので対格語尾はつかない。ende は依頼の決まり文句。
vrunkríla éndra fúnel an nébroi
読み:ヴルンクリーラ エンドラ フーネル アン ネーブロイ
| vrunkríl-a | éndra | fúnel | an | nébr-oi |
| ほどく-<(軽いものが)> | 人<主格> | 綱<対格> | 上手 | 霧-<与格> |
「人は霧の前に綱をほどく。」
主語 éndra は軽性単数なので動詞は3人称単数軽性の語尾 -a をとる。前置句 an nébroi は「霧の前に」という時間の句。
vrunkrílim fúnel fáronos
読み:ヴルンクリーリン フーネル ファーロノス
| vrunkríl-im | fúnel | fáron-os |
| ほどく-<私が> | 綱<対格> | 荷-<属格> |
「私は荷の綱を解く。」
一人称単数は語尾 -im が主語を表すので代名詞は省略する。名詞句は中心語 fúnel に属格 fáronos を後置する。荷の縄をほどく行為。
vróelo fúnel só.
読み:ヴローエロ フーネル ソー。
| vróel-o | fúnel | só |
| 揺れる-<(重いものが)> | 綱<主格> | この<重性> |
「この綱が小刻みに揺れている。」
戸口や納屋に吊した綱が、固定点の周りでわずかに揺れる日常の場面。vróel- の意味3は、荷が大きく位置をずらす動きではなく、定まった物を中心として小刻みに傾く動きを表す。指示詞 só は重性名詞 fúnel に一致する。
vróelau fúnel si krélvo.
読み:ヴローエラウ フーネル シ クレルヴォ。
| vróel-au | fúnel | si | krélvo |
| 揺れる-<双数> | 綱<主格> | と | 鉤<主格> |
「綱と鉤が小刻みに揺れている。」
作業場や倉で、吊り具二つが同じ風にわずかに揺れている場面。単数名詞が si で二つ並ぶと動詞は双数 -au を受ける。双数の動詞は人称と性を区別しない。vróel- の意味3として、それぞれが定位置の周りを小刻みに揺れる動きを指す。
vrún fúnel gandéroi, ende.
読み:ヴルーン フーネル ガンデーロイ、エンデ。
| vrún | fúnel | gandér-oi, | ende. |
| 巻く<命令法><あなたが> | 綱<対格> | 硬木-<与格> | どうぞ |
「硬木に綱を巻きつけてくれ、どうぞ。」
作業場での依頼文。vrún は命令法2人称。fúnel は重性の直接目的語で無標識。gandér-oi は巻きつける先を示す与格。ende は取引言葉として命令文後に置かれる。
vrúna faronár fúnel fáronoi.
読み:ヴルーナ ファロナール フーネル ファーロノイ。
| vrún-a | faronár | fúnel | fáron-oi. |
| 巻く-<(軽いものが)> | 運び人<主格> | 綱<対格> | 荷-<与格> |
「運び人が荷に綱を巻きつける。」
通常の叙述。主語 faronár は軽性なので動詞は -a。直接目的語 fúnel は重性のため無標識、巻きつける先 fáronoi は与格語尾 -oi を受ける。
féla faronár fúnel du orén.
読み:フェーラ ファロナール フーネル ドゥ オレーン。
| fél-a | faronár | fúnel | du | orén |
| 引く-<(軽いものが)> | 運び人<主格> | 綱<対格> | 下手 | 縁<対格> |
「運び人が綱を縁の方へ引く。」
崖道の日常。運び人 faronár は人を指すので軽性、動詞は 3 人称単数・軽性 -a。fúnel も orén も重性で、単数対格は主格と同じ。du orén は「下手へ、縁へ」の方向句。fél- は本来の krémb- に代えて、縁・崖道でよく使う。
bulkrailésa fúnel krénmoi
読み:ブルクライレーサ フーネル クレンモイ
| bulkrail-és-a | fúnel | krénm-oi |
| 留める-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 綱<対格> | 輪-<与格> |
「輪に綱を留めるものとする。」
意味2の用法。碑文・法規・手順書に用いる当為法の定型。主語を明示しない一般主語なので、軽性の当為語尾 -a をとる。当為語尾 -és- が強勢を奪い、語根 bulkráil- の強勢は消えて bulkrail- となる。目的語 fúnel は重性の対格同形、目標 krénmoi は輪の与格。
bulkráila funelár fúnel snúlvoi
読み:ブルクライラ フネラール フーネル スヌルヴォイ
| bulkráil-a | funel-ár | fúnel | snúlv-oi |
| 留める-<(軽いものが)> | 綱-<〜する人・主格> | 綱<対格> | 穴-<与格> |
「綱番は綱を穴に留める。」
基本語順に合わせて動詞を文頭に置く。主語 funelár は人なので軽性で、動詞は3人称単数軽性の -a をとる。目的語 fúnel は重性名詞で、主格と対格が同形である。目標 snúlvoi は裸の与格。
lúin dúlo funelfáron, krémero krénmo fúneloi
読み:ルーイン ドゥーロ フネルファーロン、クレーメロ クレンモ フーネロイ
| lúin | dúl-o | funelfáron, | krémer-o | krénmo | fúnel-oi |
| とき | 下る-<(重いものが)> | 綱荷<主格>, | 環に掛かる-<(重いものが)> | 環<主格> | 綱-<与格> |
「綱荷が下りるとき、輪は綱に掛かっている。」
手順書的な文。lúin「〜とき」の節は主節の前に置く。主語のkrénmoが重性なので、動詞はkrémero。掛かり先の綱は与格fúneloi。
ké brínau síndra si fúnel?
読み:ケー ブリーナウ シンドラ シ フーネル?
| ké | brín-au | síndra | si | fúnel? |
| <〜か> | ゆるむ-<双数> | 帯<主格> | と | 綱<主格> |
「帯と綱はゆるんでいるか。」
日常で、手元の帯や綱のしまりを確かめる場面の単純疑問。動詞 brín- は二つの主格単数名詞を si で並べた主語を受けて双数 brínau になる。双数の動詞は性を区別しない。
sórel, tóra funelár un funelándo.
読み:ソーレル、トーラ フネラール ウン フネランド。
| sórel, | tór-a | funel-ár | un | funelándo. |
| 今日 | 来る-<(軽いものが)> | 綱-<〜する人・主格> | 中に | 綱場<対格> |
「今日、綱番が綱場へ来る。」
到着連絡。funel-ár は「綱-AG」。主語が軽性なので tóra。見出し語 funelando は un funelando として現れる。
krúno snóimo fúnelos fáron.
読み:クルーノ スノイモ フーネロス ファーロン。
| krún-o | snóimo | fúnel-os | fáron |
| 支える-<(重いものが)> | 荷受け<主格> | 綱-<属格> | 荷<対格> |
「綱の荷受けが荷を支える。」
《荷受け》は荷や綱が乗る受け部を指す用法。《綱》の単数属格を後置し、受け部が誰・何のものであるかを示す。主語は重性で、動詞語尾は HV。
éso fáron snóimoi fúnelos.
読み:エーソ ファーロン スノイモイ フーネロス。
| és-o | fáron | snóim-oi | fúnel-os |
| いる-<(重いものが)> | 荷<主格> | 荷受け-<与格> | 綱-<属格> |
「綱の荷受けに荷が乗っている。」
存在文。《荷》が主語で、与格《荷受け》が所在を示す。o語幹の与格は語尾 -oi で表す。《荷受け》に《綱》の属格が後置し、綱が乗る受け部であることを明示する。
ván þárno fúnelos, ende!
読み:ヴァーン サルノ フーネロス、エンデ!
| ván | þárno | fúnel-os, | ende! |
| 量る<命令法><あなたが> | 端<対格> | 綱-<属格> | どうぞ |
「綱の端を量ってくれ、頼む。」
日常の作業・市の場面での命令文。þárno は重性o語幹であり、単数の主格・対格は無標識の þárno と同型である。命令法では vánd- の語末子音連結が単純化して ván となる。所有主 fúnelos は重性属格で、物の所有を示す。
vándim þárnou fúnelos.
読み:ヴァンディン サルノウ フーネロス。
| vánd-im | þárn-ou | fúnel-os. |
| 量る-<私が> | 端-<双数・対格> | 綱-<属格> |
「私は綱の両端を量っている。」
þárn-ou は語幹 þárn- に重性o語幹の双数主格・対格 -ou が接した形で、グロスも 端-DU.ACC と二形態素に対応させる。fúnelos は属格。
綱(長さの単位)
長さの単位。十腕(約17メートル)。綱場の綱の一継ぎの長さから。
anórel, ráumim dáu fúneloun.
読み:アノーレル、ラウミン ダウ フーネロウン。
| anórel, | ráum-im | dáu | fúnel-oun. |
| 昨日 | 歩く-<私が> | 二 | 綱-<双数・与格> |
「昨日、二綱歩いた。」
旅の記録のような淡々とした一叙述。場面としての時間語 anórel を文頭に置く。主語の人称は動詞語尾のみで示す。歩く経路・距離を示す単位名詞は自動詞 ráum- に対して双数与格 fúnel-oun をとる。dáu に対応して単位名詞は双数。
太い綱。降ろし場で硬木を崖の下へ吊り下ろすのに使う綱がその代表で、ふつう二本ひと組で掛けるため双数 fúnelou で言うことが多い。凍りの頃には綱が凍って危ないので吊り下ろしが止まる。
重性・子音語幹。属 fúnelos、双 fúnelou、複 fúnelul。
古高原語 *fúnel から
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